2025年11月27日の日本経済新聞に、こんな記事が出ました。
「投資用マンション節税に歯止め、相続直前購入なら税重く 政府・与党検討」
ここで大事なのは、まだ「決定」ではなく、「政府・与党が検討に入った段階」だということです。
対象は、他人に貸す目的で購入する投資用マンション、一棟賃貸マンションオフィスビル などの 投資用不動産。
これらを、相続直前に買って相続税評価を下げるスキームに、メスを入れようという流れです。
【何が問題視されているのか?イメージしやすい事例】
政府税制調査会の専門家会合で、国税庁が出した資料の中に、こんなケースが紹介されています。
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一棟賃貸マンションを 21億円 で取得
相続税評価(路線価など通達ベース)は 約4.2億円結果として、相続税負担が約7〜8億円も軽くなった
つまり、
実際の価値(時価)は「ゾウ」サイズなのに、相続税評価では「小型犬」くらいに小さく見えている。
そんな“ミニチュア化”が起きていた、ということですね。
もう一つ、”不動産小口化商品(信託受益権など)”の例もあります。
3,000万円で買った小口商品が評価上は 480万円程度その評価額で孫へ生前贈与
その後、孫がほぼ3,000万円で売却して現金化
…となると、評価は1/6なのに、中身のお金はほぼそのまま残っている、という歪みが生じます。
国税庁は、
「こういう極端なケースは、制度の趣旨から外れているのではないか」
と問題提起しているわけです。
【制度見直しの“方向性”は?(※まだ検討段階)】
報道ベースで語られている方向性は、とてもシンプルです。
生前に投資用不動産を取得してから、一定期間内(例:5年以内)に相続が発生したとき、従来のような路線価ベースではなく「購入時の価格(取得価額)」を相続税評価の基準にする案 を検討
つまり、「相続の直前に駆け込みで投資用物件を買って、評価だけ下げる」
というパターンを、狙いにくくしようというものです。
繰り返しますが、ここは まだ『政府・与党が検討に入った』段階で、正式に決まった話ではありません。
【だからといって「生前贈与」や「投資用不動産」がダメになるわけではない】
ここで、一番誤解してほしくないポイントです。
投資用不動産を使った相続対策が全部ダメになる。生前贈与をやる意味がなくなる
という話ではまったくありません。
問題視されているのは、相続“直前”の駆け込み購入。実態とかけ離れた、評価圧縮だけを目的にしたスキームです。
一方で、
きちんと賃貸経営として成り立つ投資用不動産を長期保有を前提にポートフォリオに組み込む
という考え方は、むしろ王道の相続・資産戦略です。
生前贈与も同じで、毎年の基礎控除をコツコツ使う
教育資金など、制度の趣旨に沿った方法で使う
といった 「早め・こまめ」な活用 は、今後も十分に有効な選択肢です。
【結論:生前贈与も投資用不動産も「早めの取り掛かり」が有利になりやすい】
今回のニュースから、私がお伝えしたいのは一言でいうと、
生前贈与も、投資用不動産の購入も、「思い立ったときに早めに取り掛かる」方が有利になりやすいということです。
税制は、新聞に大きく取り上げられ始めた段階で、すでに“潮目が変わりつつある”ことが多い世界です。
ご家族の状況(誰に・何を・どのタイミングで渡したいのか)お持ちの資産全体のバランス賃貸経営や現金収支の見通し(空室・修繕・金利など)こうした点を踏まえて、投資用不動産をどの程度・いつ組み入れるか生前贈与をどのペースで進めるかを、「制度が変わる前提」も頭に置きながら、早めに設計しておくことが大切です。